偏食
偏食・甘い物依存は「心の甘え」ではない
「野菜をまったく食べない」「甘いお菓子やジュースばかり欲しがる」
「食事に時間がかかる」「おにぎりしか食べない」…
こうした子どもの食行動の背景には、『栄養素の不足による“脳の機能不全”や“味覚の狂い”』があります。
「食の偏り」が子どもの心と体に与える影響
よくある行動/症状 | 考えられる栄養的背景 |
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甘い物ばかり欲しがる | 血糖値の乱高下、たんぱく質・ビタミンB1不足 |
食欲がない・偏食が激しい | 亜鉛・鉄・ビタミンB群の欠乏→味覚異常/消化力低下 |
落ち着きがない・集中できない | ブドウ糖依存、ドーパミン不足(B6・鉄・マグネシウム) |
便秘・下痢を繰り返す | 腸内細菌の乱れ、腸粘膜の損傷(グルテン・カゼイン・乳糖など) |
「甘い物を欲しがる→さらに必要な栄養がとれない→イライラ・不調が悪化」の負のスパイラルに入ってしまいます。
脳の報酬系と血糖スパイクの落とし穴

脳は『甘い物』に強い快感を覚えるようにできています。
これが繰り返されると脳のドーパミン回路が鈍り、「もっと欲しい」状態に陥ります。
- 朝にパンとジュースだけ → 血糖スパイク
- その後の急落 → 倦怠感、だるさ、イライラ、甘い物への欲求
- 夕方以降も落ち着かず、癇癪・夜更かしへ…
子どもは自分でバランスを整えることができないため、“食べさせ方”と“栄養の選び方”を整えることがカギです。
オーソモレキュラー療法による対応
当院では、子どもの偏食や甘味嗜好を“体質”として見るのではなく、“状態”として改善していきます。
栄養状態を血液検査で可視化
- 鉄、亜鉛、たんぱく質、ビタミンB1/B6、血糖バランス、腸の炎症マーカーなどを測定
- 親御さんと数値を見ながら「なぜ食べないのか?」を一緒に考えます
食事の工夫を具体的に提案
- 例:「おにぎりに卵やしらすを“ちょい足し”」
- 野菜を食べない子にも使える“隠し栄養レシピ”
- 甘い物がやめられない子への「砂糖依存リセットプラン」
無理のない範囲でサプリメントも活用可
- 「まずは朝ごはんから」一緒に整えていくスタンスです、
- 小児用サプリメント、粉末型など、飲めるかどうかも丁寧に確認
実際の改善例とレシピの工夫
6歳 男児|偏食+甘い物依存+イライラがひどい
血液検査で鉄・亜鉛・たんぱく質・B1が低値。3食のちょい足し+甘味置き換え(手作りヨーグルトゼリー)で3週間後から行動が安定。
レシピ例:朝の“栄養ブースター味噌汁”
- 出汁+味噌+すりごま+ツナ+豆腐+卵 → 必須アミノ酸・ミネラルを一気に摂取
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 偏食でも血液検査を受けられますか?
はい。食べていないからこそ「何が足りないか」を可視化することが重要です。
Q2. 子どもがサプリメントを飲めないかもしれません…
飲みやすい形・味の調整が可能です。無理に飲ませることはしません。
Q3. まず何から改善したらよいかわかりません
多くの方がそうおっしゃいます。当院では「まず1週間、朝ごはんだけ整える」などステップ式でご案内しています。
執筆者


執筆者
総院長 / 七夕医院
医療法人梶の木会総院長 梶 尚志
分子整合栄養医学(オーソモレキュラー医学)に出会い、「人間の体は全て栄養からできている」という原理原則を学び、「薬を使わない治療、栄養療法」を実践、小児の不登校や発達障害、そして、女性の不定愁訴や不妊症、男性更年期といった、通常の治療ではなかなか解決できない悩みを解決。
取得資格
医学博士 / 日本内科学会 認定総合内科専門医 / 日本腎臓学会 認定腎臓専門医 / 日本プライマリ・ケア連合学会 認定医・指導医 / 日本抗加齢医学会 専門医 / 日本医師会 認定産業医 / 日本医師会 認定健康スポーツ医 / オーソモレキュラー・ニュートリション・ドクター(OND)